第3回 ミズナラの苗木の植樹

第3回「未来へつなぐ森林(もり)づくり 甲府」
ミズナラの苗木の植樹

2026年5月22日
サントリー元チーフブレンダー(現:サントリー名誉チーフブレンダー)の輿水精一氏の生まれ故郷である、山梨県甲府市にて、第3回目のミズナラの植樹を行いました。
甲府市と協定を結び、一昨年2024年から始まったこのミズナラの植樹は、会員の皆様から頂いております年会費の一部を活用させて頂き、実現できているものです。

この植樹活動は、コミュニティ「韻」の会員の皆様から甲府市へ寄贈されたものであり、会員の皆様には単なるウイスキー愛好家としてではなく、ジャパニーズウイスキー業界の未来を支える貢献者としてのアイデンティティを証明する活動です。
改めて会員の皆様には厚くお礼申し上げます。

2026年の今年は、ミズナラの苗木の植樹日の前日、甲府市の皆様と一緒に、白州の樽工場の見学を特別に許可して頂き、樽製造の工程を見学させて頂きました。
(通常、白州の樽工場の見学に関して、安全面などの観点から、一般の方の見学は許可されていませんが、甲府市との協定に基づき、今後のミズナラ植樹やミズナラ樽の製造を視野に入れた活動のコンセプトにご理解を頂き、実現いたしました。)

ミズナラの植樹の様子

2026年のミズナラの植樹は、予定していた日が悪天候(大雨)予報で、とても心配していましたが、前日に大雨は降ったものの、当日の5/22の天候は曇りで大雨に至らず、無事にミズナラの植樹を開催することができました。
過去に植樹したミズナラの苗木も元気に育っており、第3回の今回も、同じ場所に追加する形で植樹を行いました。

ミズナラの苗木と共に、韻の会員の皆様の名前を入れた名簿を、輿水氏より樋口市長(ひぐち しちょう) に贈呈いたしました。

今回の植樹では、「一般社団法人 アジア・アフリカ・アラブ55」より事務局長等2名にもご参加頂きました。
アジアにおいて日本は、諸外国の大使館が一番多く拠点を持つ国でもあり、この法人は、日本とアジア・アフリカ・アラブ地域との交流促進に寄与すべく、活動を行っており、各国大使と日本企業とを結び付け、架け橋となる存在です。
このミズナラの植樹の活動を通じ、ジャパニーズウイスキーの価値の維持や向上を高め、より深い魅力を海外の方へ知ってもらう事ができればと考え、参加して頂きました。

ミズナラの木を実際に切る

日本のウイスキーの象徴でもある、ミズナラ樽で熟成したウイスキー。そのミズナラの樽を作るには、「まっすぐ伸びた、直径60cm以上の木が理想」とされています。しかし、ミズナラは甲府市では標高1000m以上の場所に存在し、切って運ぶのも困難な場所に生息し、理想の直径になるまで100年以上はかかるとされています。そして、まっすぐ伸びるミズナラの木はなかなか珍しく、大体のミズナラの木は光を求め、曲がったりする木が多く見受けられます。

今回は、樽に使えるミズナラの木ではありませんが、実際にミズナラの木がどういうモノかを皆が知るために、甲府市の方々に協力してもらい、実際にミズナラの木の伐採を行って頂きました。

このミズナラの木の直径は30~40cmくらいでしょうか?
年輪を見るに、この木は40年くらいのミズナラの木でした。
30年くらいまでは、年輪の幅が小さく、成長スピードが遅かったようですが、30年以降は年輪を見る限り、同じ成長度合で安定して大きく成長しているのが分かります。
北海道では直径60㎝程度までに成長するのに役200年程度かかっている木が多いようで、樹齢40年以下で直径30~40㎝までに達していた甲府のミズナラの成長の早さには驚かされます。甲府のミズナラは成長が早いのかどうかは定かではありませんが、木は、皮の部分に面している部分が生きている部分だそうで、実際にこうやって木を切ることによって、木の成長の偉大さと大切さが身に染みて分かります。

ご説明を頂いた、「地域おこし協力隊 森林総合監理士 小島健太郎氏」によると
ミズナラは水分を多く含む木であり、比重は高く材の性質は安定しており、バランスを考えたミズナラの植樹と伐採のサイクルは、森林と水の循環に関する生態系にとって非常に有効であり、このミズナラの植樹の活動に対して、大きな評価を得る形にもなりました。
ミズナラの植樹及び、木材の有効活用(樽づくり)は、森林や水の循環にとっても大きく役に立てる実感を得て、とても嬉しく感じました。

しかし、このサイズのミズナラの木では、樽1つ作れるレベルではないそうです。

ウイスキー樽やワイン樽づくりにおいて、木は「柾目取り(まさめどり)」が必要となります。
柾目取りとは、木の中心(芯)から外側に向かって放射状に木材を切り出す方法です。隙間から液体が漏れるのを防ぎ、収縮や反りを抑えるために不可欠となります。

我々は、ウイスキー樽では使用できないであろうと思われるミズナラの木や端材の有効活用を現在考案中です。

ただ、ジャパニーズウイスキーにとって必要不可欠である、ミズナラの樽を甲府で作るという目標は揺るぎません。
樽に適したもっと大きなミズナラの木は甲府に存在するのか?

直径80cmを超えるミズナラの木との出会い

木を切り、知識を得た我々は、次の目的地へ。
なんとそこには、直径80cmを超える、大きなミズナラの木がありました。
小島健太郎さん曰く、樹齢200年は超えているだろうとのことでした。北海道であれば樹齢300年級であろうとの声も上がっていました。
しかも、この1本だけではなく、周囲には、同じレベルのミズナラの木がありました。
その光景は、ただただ、そのミズナラの木に圧倒され、神秘的で力強く、自然のメッセージを感じるようでした。

「この木が、ウイスキー樽になるのか」
「直径が60cmを超える樹齢150年、200年以上のミズナラの木は無数にある訳でもなく、今となっては本当に貴重なんだな。」
実感を得て、そう考えると、ウイスキーが本当に価値のあるモノだと実感できます。
そして、こういった背景を感じ、ジャパニーズウイスキーを飲むという事は、本当に幸せな事であると。
まさに、ウイスキーが「命の水」と称される意味が分かります。

現在、ナラ枯れが各地で起こっており、大きく成長したミズナラの木もいつ枯れてしまうか分からない状態とのことです。ただ枯れるのを待つよりも、森林のプロと協力して選定し、有効活用しながら植樹と伐採のサイクルを考えることは本当に重要だと理解しました。

甲府市役所に戻り、今後の目標をディスカッション

ミズナラの植樹を終え、木を切り、知識を得て、大きなミズナラの木を見て、その可能性の大きさを実感した皆で、今後の目標について話し合いを行いました。

森林と水の循環を守り、ミズナラを通じて、ジャパニーズウイスキー業界とファンへの貢献をコンセプトに、どうやって甲府で樽づくりを行い、地域一体となって活動を続け広げていけるのか。

植樹を通じて、将来のミズナラを残していく。
ジャパニーズウイスキーの未来のために。
ミズナラという貴重な資源を、もっと多くの人に知ってもらうためには、どのような「見える形」をつくるべきか。
この活動を継続させるためには、どのようなことが必要なのか。
民間と行政が一体となって取り組むことで、今後も末永く続いていく持続可能な形をつくり上げていかなくてはならない。
甲府市とは今後、定期的なディスカッションや具現化への取り組みが始まります。

懇親会

今回も前回に続き、
一般社団法人 日本バーテンダー協会の山梨県支部長 齋藤 洋平様のお店
「Dining Amusement Bar EBL」
にて懇親会を開催しました。

輿水氏からの挨拶を頂き、佐久間氏より乾杯。
「甲府ハイボール」をつくり、もっと甲府の魅力を伝えようというテーマの下、何をどうすれば甲府ハイボールと呼べるモノにするか?の話をしながら懇親会はスタートしました。

第3回目となったミズナラの植樹
世界からも注目される「和樽」と呼ばれるミズナラの樽は、酒業界、世界から注目される樽。 ミズナラという可能性は「日本の酒文化」を象徴することができる事。

会を重ねる度に、皆の知識と想いが高まっている事が実感できます。
今後は、活動だけではなく、誰でも認識できる形のあるもの「具現化」を行います。
樽は、木を伐採して、丸太そのままで1年間乾燥させ、製材して2、3年乾燥させ、ようやく樽の組み立てが行えます。樽の完成は、木を切ってから3,4年経って実現できるモノで、まだまだ先は長いです。
その間に、何を行うか?何を発信するか?何を形にするか?
「韻」の会員の皆様に対して、甲府市の皆様に対して何を具現化するか?

もう少しでその答えが出てくるかと思います。
そして、今まで支えてきてくださった会員の皆様には改めて感謝を申し上げます。

2026年5月20日時点の会員様のお名前は、名簿に印し、甲府市長へお渡しし、この第3回ミズナラの植樹及びジャパニーズウイスキー業界の貢献者として刻まれております。

下記の動画は、活動の内容です。最後にクレジットとして名前を入れさせていただいております。
甲府市の皆様、会員の皆様、本当にありがとうございます。

2026年 第3回「未来へつなぐ森林(もり)づくり 甲府」
~ミズナラが育むジャパニーズウイスキー~

ー 協定 ー
甲府市、輿水精一、(株)マイコンシェルジュ ジャパニーズウイスキーコミュニティ「韻」が、それぞれに有する資源や魅力、知見を生かした事業を連携して取り組むことにより、「未来」へつなぐ森林づくりの推進を図り、ひいてはジャパニーズウイスキーの発展と持続可能な開発目標(「SDGs」)の達成に貢献することを目的とする。

植樹目的
甲府市民の水源林の保全とジャパニーズウイスキーの製造に不可欠なミズナラの育成を図るため、甲府市市有林においてミズナラの植樹を実施。

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